舞台は小さな森に囲まれたかつての学び舎。
特別支援学校の卒業生たちが月に2回
いそいそと母校に集まり、ミュージカルをつくりあげています。
ダウン症や知的障害を持ちながら社会に出るということは、
荒波の海に船を漕ぎだすようなもの。
年齢を重ねる度に仕事、結婚、自立、老い…。
様々な現実が押し寄せてきます。
“若竹ミュージカル”は卒業生が孤立することなく、より豊かな人生を送れるように、
集い、語り、発散できる場として保護者や先生など支援者に支えられスタートしました。
演目は名作「サウンドオブ・ミュージック」「ウエストサイド・ストーリー」
「屋根の上のヴァイオリン弾き」の3つ。
ひとつの作品を2年も3年もかけてゆっくり、つくりあげていきます。
みんなはそのプロセスを通して「歴史」を知り、「戦争」を知り、「恋」を知り、
自分の生き方を考えます。
親や先生たちも、最初はよくある当事者支援として関わっていました。
しかし、しだいに歌うこと、踊ること、演じることに魅せられていきます。
そして「親でもなく子でもなく先生でもなく同じミュージカルをつくる仲間」という意識が芽生えてきたのです。
さらに「一緒にミュージカルをつくり上げたい…」と若竹ミュージカルオーケストラも誕生。
今やメンバーたちにとってかかすことのできないものになったのです。
カメラはそんな若竹ミュージカルのなんでもない日常に寄り添いました。
特別に何か起こるわけではありません。
でもなんだかわからないけど面白い。心地いい。
不思議な気持ちになります。
さて、いよいよ
ドキュメンタリー映画
「空想劇場」の幕が上がります。